4-1 技術課
技術課は所長に直属した技術職員の組織で,2007年4月1日の構成員は,7班15係の総勢37名である。技術職 員は,主に研究施設に配属され,それぞれの持つ高い専門技術で,分子科学の研究を支援している。研究室に配属さ れた技術職員は,研究教育職員と共同して研究を行ううちに,博士号を取得し,他機関へ研究者として転出して行く。 ただし,研究室配属の技術職員は定員削減により廃止の方向で検討が進んでいる。一方,研究施設に配属された職員は, 先端的装置を駆使し,研究教育職員から依頼された業務をこなし,装置の維持管理を行っている。また,研究教育職 員と協力し,施設の運営も行っている。
施設に配属された技術職員が対応する技術分野も幅が広く,依頼を受けて製作・測定する分野としては,機械工作, 回路工作,理化学ガラス製作,計算機プログラミング,広報ポスター・出版物作成,化学分析などがあり,機器の管 理分野では,ネットワークシステム,化学系研究設備有効活用ネットワーク,レーザーシステム,X線解析装置,電 子顕微鏡,E S R ,S Q U I D ,N M R 装置などの維持管理があり,また施設の管理分野としては,計算機施設,装置開発 施設,高圧ガス製造施設,放射光施設,機器利用施設の維持管理業務がある。
安全衛生分野では,基礎生物学研究所並びに生理学研究所とともに,岡崎3機関の安全衛生委員会に安全衛生管理 者として加わった。分子研に於いては,安全衛生管理室に所属し(併任),専任助手に加えて4名の技術課所属衛生 管理者が,毎週職場巡視を行い,分子研の安全衛生管理に寄与している。また,作業環境測定士及び放射線・電気/レー ザー・高圧ガス担当の作業主任者としても安全衛生管理室に加わり,研究教育職員とともに安全衛生を担当している。
技術職員が組織化されたのは,1975年に創設された分子科学研究所技術課が日本で最初である。技術職員が組織 化したことで,直接待遇改善につながったが,組織化の効果はそれだけでなく,施設や研究室の狭い枠に留まってい た支援を,広く分子科学分野全体の研究支援を行うことができるようになり,強力な研究支援体制ができあがった。 支援体制の横のつながりを利用して,分子研への見学・視察の際の見学先との交渉,スケジュールの作成等,事務セ ンターと技術課が協力し行っている。
しかし,分子研の場合,施設に配属された技術職員は,研究室に配属された技術職員に比較すると,流動性に乏し いので,組織と個人の活性化を図るために,積極的に次のような事項を推進している。
4-1-1 技術研究会
施設系技術職員が他の大学,研究所の技術職員と技術的交流を行うことにより,技術職員相互の技術向上に繋がる ことを期待し,1975年度,分子研技術課が他の大学,研究所の技術職員を招き,第1回技術研究会を開催した。内容 は日常業務の中で生じたいろいろな技術的問題や失敗,仕事の成果を発表し,互いに意見交換を行うものである。そ の後,毎年分子研でこの研究会を開催してきたが,参加機関が全国的規模に広がり,参加人員も300人を超えるよう になった。そこで,1982年度より同じ大学共同利用機関の高エネルギー物理学研究所(現,高エネルギー加速器研 究機構),名古屋大学プラズマ研究所(現,核融合科学研究所)で持ち回り開催することになり現在に至っている。 1996年度より国立天文台や大学も交代で開催するようになった。表1に今までの技術研究会開催場所及び経緯を示す。
表1 技術研究会開催機関
年度 開催機関 開催日 分科会 備考
昭和 50 分子科学研究所 昭和 50 年 2 月 26 日 機械 名大 ( 理 )( 工 ) のみ
昭和 51 分子科学研究所
昭和 50 年 7 月 20 日 機械 学習院大など参加
昭和 51 年 2 月 機械、(回路) 名大 ( 工 ) 回路技術
昭和 52 分子科学研究所
昭和 52 年 7 月 機械 都城工専など参加
昭和 53 年 2 月 機械、(回路) 名大プラ研回路技術
昭和 53
分子科学研究所 昭和 53 年 6 月 2 日 機械、回路
技術研究会について討論会 分科会形式始める 高エネルギー物理学研究所 昭和 53 年 10 月 27 日 機械技術
昭和 54
分子科学研究所 昭和 54 年 7 月 機械、回路、電子計算機 電子計算機関連の分科会を創設
高エネルギー物理学研究所 昭和 54 年 10 月 19 日 機械
分子科学研究所 昭和 55 年 2 月 機械、回路、電子計算機
昭和 55
高エネルギー物理学研究所 昭和 55 年 10 月 24 日 機械
分子科学研究所 昭和 56 年 1 月 30 日 機械、回路、電子計算機、低温
低温分科会を創設 技術課長 内田 章
昭和 56
分子科学研究所 昭和 56 年 7 月 機械、回路、電子計算機、低温 高エネルギー物理学研究所 昭和 56 年 1 月 30 日 機械
昭和 57 高エネルギー物理学研究所 昭和 58 年 3 月 17-18 日 機械、回路、電子計算機、低温
技術部長 馬場 斉
3研究機関持ち回り開催が始まる 昭和 58 分子科学研究所 昭和 59 年 3 月 2-3 日 機械、回路、電子計算機、低温
昭和 59 名古屋大学プラズマ研究所 昭和 59 年 11 月 15-16 日
機械、ガラス , セラミック、低温回路、電 子計算機、装置技術
実行委員長 藤若 節也
昭和 60 高エネルギー物理学研究所 昭和 61 年 3 月 19-20 日
機械、計測制御、低温、電子計算機、装置 技術
技術部長 山口 博司 昭和 61 分子科学研究所 昭和 62 年 3 月 19-20 日 機械、回路、電子計算機、低温
昭和 62 名古屋大学プラズマ研究所 昭和 63 年 3 月 29-30 日 機械、回路、低温、電子計算機、装置技術 昭和 63 高エネルギー物理学研究所 平成元年 3 月 23-24 日
機械、計測制御、低温、電子計算機、装置 技術
技術部長 阿部 實 平成元 分子科学研究所 平成 2 年 3 月 19-20 日 機械、回路、低温、電子計算機、総合技術 2ヶ所で懇談会 平成 2 核融合科学研究所 平成 3 年 3 月 19-20 日
機械、低温、計測制御、電子計算機、装置 技術
平成 3 高エネルギー物理学研究所 平成 4 年 2 月 6-7 日
機械、低温、計測制御、電子計算機、装置 技術
平成 4 分子科学研究所 平成 5 年 3 月 11-12 日 装置 I、装置 II、低温、電子計算機
実行委員長 酒井 楠雄 3研究機関代表者会議 平成 5 核融合科学研究所 平成 6 年 3 月 23-24 日
機械、低温、計測制御、電子計算機、装置 技術
技術部長 村井 勝治 研究所間討論会 平成 6 高エネルギー物理学研究所 平成 7 年 2 月 16-17 日
機械、低温、計測制御、電子計算機、装置 技術
技術部長 三国 晃 研究所間討論会 平成 7 分子科学研究所 平成 8 年 3 月 18-19 日
機械、回路、計測制御、電子計算機、化学 分析
技術課長 酒井楠雄
研究所間懇談会 化学分析を創設
平成 8
国立天文台・電気通信大学共催 平成 8 年 9 月 19-20 日
計測・制御、装置・回路計算機・データ処 理
初めての分散開催 大阪大学産業科学研究所 平成 8 年 11 月 14-15 日 機器分析
名古屋大学理学部 平成 9 年 2 月 6-7 日 装置開発 A ,B 、ガラス工作 北海道大学理学部 平 9 年 2 月 27-28 日 低温
平成 9
核融合科学研究所 平成 9 年 9 月 11-12 日 機械、回路、低温、電子計算機、装置技術 静岡大学 平成 9 年 11 月 27-28 日 機器分析
工学部、情報学部、電子工学研究所 各技術部の共催
平成 10
名古屋工業大学 平成 10 年 11 月 26-27 日 機器・分析
高エネルギー加速器研究機構 平成 11 年 3 月 4-5 日 工作、低温、回路・制御、装置、計算機 インターネット討論会
平成 11
東北大学 平成 11 年 11 月 11 日 機器・分析 分子科学研究所 平成 12 年 3 月 2-3 日
装置、回路、極低温、電子計算機、ガラス 工作
インターネット技術討論会 福井大学 平成 12 年 9 月 28-29 日 機器・分析
平成 15
三重大学 平成 15 年 11 月 20-21 日 機器・分析
高エネルギー加速器研究機構 平成 16 年 2 月 26-27 日 工作、低温、回路・制御、装置、計算機 技術部長 三国 晃
平成 16
佐賀大学 平成 16 年 9 月 16-17 日 機器分析を主とし全分野
大阪大学 平成 17 年 3 月 3-4 日
工作、装置、回路・計測制御、低温、情報 ネットワーク、生物科学、教育実験・演習・ 実習
平成 17
岩手大学 平成 17 年 9 月 15-16 日 機器・分析 分子科学研究所 平成 18 年 3 月 2-3 日
機 械・ ガ ラ ス 工 作、 回 路、 低 温、 計 算 機、 装置
技術課長 加藤 清則
平成 18
広島大学 平成 18 年 9 月 14-15 日 安全衛生、計測制御、機器・分析など全分野
名古屋大学 平成 19 年 3 月 1-2 日
機械・ガラス工作、装置技術、回路・計測・ 制御、低温、情報ネットワーク、生物、分 析・環境、実験・実習
平成 19
富山大学 平成 19 年 8 月 23-24 日 機器・分析 核融合科学研究所 平成 20 年 3 月 10-11 日
工作・低温、装置、計測・制御、計算機・デー タ処理
技術部長 山内健治
4-1-2 技術研修
1995年度より,施設に配属されている技術職員を対象として,他研究所・大学の技術職員を一定期間,分子研の 付属施設に受け入れ技術研修を行っている。分子研のような大学共同利用機関では,研究者同士の交流が日常的に行 われているが,技術者同士の交流はほとんどなかった。他機関の技術職員と交流が行われれば,組織の活性化,技術 の向上が図れるであろうという目的で始めた。この研修は派遣側,受け入れ側ともに好評だった。そこで,一歩進めて, 他研究機関に働きかけ,受け入れ研修体制を作っていただいた。そうした働きかけの結果,1996年度より国立天文 台が実施し,1997年度には高エネルギー加速器研究機構,1998年度からは核融合科学研究所が受け入れを開始した。 法人化後は,相互の受け入れ体制が整っていないためにまだ実施件数は少ないが,今後活発になるものと考えている。 表2,3に分子研での受け入れ状況を示す。
表2 過去の技術研修受入状況
年 度 受 入 人 数(延)
平成 7 年度 6
平成 8 年度 12
平成 9 年度 13
平成 10 年度 7
平成 11 年度 6
平成 12 年度 13
平成 13 年度 47
平成 14 年度 96
平成 15 年度 59
平成 16 年度 8
平成 17 年度 6
平成 18 年度 6
表3 技術研修受入状況(2007.1.1 〜 12.31)
氏 名 所 属 受入期間 備 考
小澤 忠夫 名古屋工業大学 平成 19 年 2 月 15 日 講演
熊谷 宜久 神戸大学 平成 19 年 3 月 5 日 -3 月 6 日 理化学ガラス機器製作研修 立花 健二 名古屋大学 平成 19 年 6 月 4 日 -6 月 15 日 装置開発室機械工作研修 熊谷 宜久 神戸大学 平成 19 年 10 月 11 日 -10 月 12 日 理化学ガラス機器製作研修 森本 浩行 名古屋大学 平成 19 年 10 月 5 日 -3 月 28 日 UV S OR 研修
熊谷 宜久 神戸大学 平成 19 年 11 月 1 日 -11 月 2 日 理化学ガラス実験機器製作研修 伴 和紀 九州大学 平成 19 年 12 月 12 日 -12 月 13 日 装置開発室機械工作研修 山之内真司 九州大学 平成 19 年 12 月 12 日 -12 月 13 日 装置開発室機械工作研修
表4 研修受講実績(平成19年度)
研 修 名 開 催 機 関 日 程 参 加 者
平成 19 年度前期放送大学 愛知学習センター 4/06 〜 9/06 吉田、青山、近藤(聖)、内藤、豊田 平成 19 年度後期放送大学 愛知学習センター 10/06 〜 3/07 牧田、水川、中野、岩橋
4-1-3 人事
人事の活性化を図るために,人事交流を行ってきた。法人になってからは,広く人材を登用するため,公募採用も 取り入れた。
人事交流
長期間,同一職場に勤務すると,慢性のために活力が低下しがちである。転勤が少ない職場での人事異動は,組織 と個人の活性化に不可欠である。1995年3月から,一定の期間,所属を移して勤務する人事交流を行ってきた。し かし,法人化後は,手続きが確定していないため停止せざるを得ない状況となった。
人事交流実績
装置開発室/名古屋大学理学部
極端紫外光実験施設/北陸先端科学技術大学院大学
法人化後の技術課人事
年月日 事項 配属班 備考(前職あるいは転出先)
2004 年 4 月 1 日 採用 機器開発技術班 名古屋大学 2004 年 4 月 1 日 採用 光計測技術班 東北大学
2004 年 10 月 16 日 採用(公募選考) 研究・広報技術班 基礎生物学研究所 2005 年 4 月 1 日 採用(公募選考) ナノサイエンス技術班
2005 年 4 月 1 日 採用(公募選考) ナノサイエンス技術班
4-1-4 受賞
早坂啓一(1995 年定年退官) 日本化学会化学研究技術有功賞(1986) 低温工学協会功労賞(1991)
酒井楠雄(2004 年定年退官) 日本化学会化学技術有功賞(1995) 加藤清則 日本化学会化学技術有功賞(1997) 西本史雄(2002 年辞職) 日本化学会化学技術有功賞(1999) 山中孝弥 日本化学会化学技術有功賞(2004)
石村和也 WATOC2005 Best Poster Diamond Certificate(2005) 堀米利夫 日本化学会化学技術有功賞(2005)
鈴井光一 日本化学会化学技術有功賞(2007) 吉田久史 日本化学会化学技術有功賞(2008)